「それが、隠密部隊からの報告です」




ナトリは床に落ちた身分証を拾い上げるとサイドテーブルに置いて頭を下げ部屋を出た。
バタンと扉が閉じた瞬間、クロウは梨乃に駆け寄る。



「プリンセス!」

「・・・クロウ・・・。嘘だよね・・・。ゆりねが、私を・・・だって、ゆりねは私の友だちなのに。あの世界でできた大切なっ!」

「・・・申し訳、ありません」




堰を切ったように溢れ出す涙。
声をあげ、子どものように泣きじゃくる梨乃に。


クロウもロイも、なんと声をかけたらいいかわからなかった。



どうしてこんなことに。
泣かせたくなんてない。



護りたい。
そう思っていたはずなのに。




梨乃はそのまま泣き続け、泣き疲れて眠ってしまった。