「番人って・・・、シドはヘルスター王国にいったってことですか?」

「はい。通っていった事はその門番が確認しています。これを渡したということは、おそらくもう戻るつもりはないんでしょうね」




橋を渡るには、身分証が必要になる。
国民が簡単に行き来はできず、城で働く者、商人など必要な物が発行してもらうことになっている。

それを、手放したということはその橋をもう渡るつもりがないという事。
そして、エスターンでの身分を破棄するという事。




「どうして・・・」

「プリンセスの体調不良の原因を探らせていた隠密部隊によると、シドは一度ヘルスター王国に行っていたようです」

「え・・・?」

「会っていたのは、ヘルスター王国のプリンセスユリネ=ターナー」

「ゆりね・・・?どうしてゆりねとシドが・・・?」




知り合いだったのか?
梨乃の頭は混乱していた。

シドがいなくなり、シドはその前にゆりねと会っていた。
その関連がわからず、動揺を隠せない。




「おそらく、そこでなんらかの取引が行われたのだろうと」