信じたくない、そんな事。
だって、そんな。



「失礼します」




声がかかり、中に入って来たのは、国王の側近であるナトリ。



「プリンセス、ご加減はいかがですか」

「え・・・、あ、心配おかけしました」

「いえ。・・・隠密部隊からの報告をお伝えしに来たのですが、今よろしいです?」

「報告・・・?」




梨乃はクロウから手を放し身体を起こした。
ロイとクロウは横に控える。

ナトリはすっと懐からあるものを取り出し梨乃に差し出した。

それは、シドの身分証。




「これ・・・」

「橋の門番に、もういらないからと渡したそうです」

「いらないって・・・」




震える手で梨乃はそれを受け取る。