「え?」

「・・・シドは、城を出ました」




クロウが苦しげに目を伏せ、そう告げた。
梨乃は驚きに息をのみ、言葉が出ない。



「自分には、向いていないと。そう言い残して」

「う、そ・・・。そんな!」

「本当です」

「そんな、引き止めなかったの!?どうしていかせたりしたの!?私、なにも聞いてないのに!」




梨乃は身体を起こし、クロウに詰め寄る。
クロウの服にしがみ付き、縋るように訴えた。




「どうしてっ!」

「プリンセス、まだ病み上がりです。興奮しては・・・」



ロイがクロウから梨乃を引きはがそうと手を添えるが、梨乃は聞く耳を持たずクロウに訴え続けた。




「嘘よ!だって、言ったもの!私を護ってくれるって!側にいてくれるって・・・!」