「あ、そうだ、カノンくん、おかえり」
「・・・っ、ただいま帰りました。梨乃さま」
改めてそう言われると、カノンの胸はキュンと感動に鳴る。
帰ってこれた。
僕の居場所は、ここだ。
「カノン、仕事に戻りなさい」
「はい、クロウさま。ありがとうございました」
カノンは頭を下げそそくさと部屋を出て行った。
エスターンに戻ってからすぐに庭師の仕事に戻ったカノンだったが、一日に数時間だけ特別に許可が下り、梨乃のお見舞いに来ていた。
少なからず責任を感じてしまっているカノンへの特別措置だった。
「そういえば・・・、シドは?」
姿が見えないことに不思議に思った梨乃が尋ねると、クロウは表情を暗くする。
「プリンセス、あいつの事はもうお忘れください」
梨乃の問いに冷たく答えたのはロイ。