「もっと、ちゃんと兄弟すればよかったな」
「はい?」
「兄貴って、結局あんま呼んだことないし」
「そんなの、これから呼べばいいでしょう」
怪訝そうなクロウ。
声が震えないように。
「・・・楽しかったわ。でも、もうやめる」
「やめる?」
「俺、ここ出てくわ」
「こんな時になにを言い出すんです」
シドの突然の言葉にクロウは眉を顰めた。
「やっぱ俺、護るとか向いてねぇってわかった。だってずっと、生きるために戦ってきたんだ。そういうやり方しか、知らねぇもん」
「今更なにを言ってるんですか」
「・・・そういう事だから。あいつに、よろしく言っといて」
シドは振り切るように歩き出す。
拳を握りしめ、毅然とした態度で。