ポケットから取り出した小瓶の中身を自分の口に流し込む。
そっと梨乃の頬に触れ、もう片方の手で顎に触れた。


梨乃の唇を薄くあけると、その唇にそっと唇を重ねた。



薬を流し込み終えても、触れたままの唇。





離したくない。




ついばむ様に唇を重ね、確かめるように触れた。
忘れないように。

この温もりを。



消えないように。





「じゃあな」




梨乃の濡れた唇をそっと拭い、一度頭を優しく撫でると振り返らずに部屋を出た。
そこで待っていたクロウを見るとすぐに視線を反らす。