「どこに行ってたんですか!」
エスターンに戻ると、クロウが険しい表情で詰め寄った。
シドは黙ったまま梨乃の部屋の中にはいる。
「・・・少し、席を外してくれないか」
「どういう・・・」
「二人に、なりたいんだ」
力ないシドの様子に眉を寄せながらも、クロウは肩を落とし他の者を連れ部屋を出た。
二人になった部屋。
シドは苦しげな梨乃を見る。
火照った顔、苦しげな表情に胸が痛む。
「・・・お前の笑顔、見たかったな」
そう呟くと梨乃の火照った頬に手を添えた。
汗で湿る頬を撫で、確かめるように何度も何度も撫でた。
泣き出しそうになりながらその目に焼き付けるように見つめた。