「ねぇシド。戻ってきて、私のところに」
「俺は・・・っ」
甘えるように上目づかいでそう言うユリネ。
シドは困惑の色を隠せないまま視線を揺らした。
「シドが戻ってきてくれるなら、あの子の命助けてあげてもいい」
「・・・なに」
「これ、解毒剤よ。これを飲めば、あの子は助かる」
「本当か?」
「ええ。シドが、戻ると約束するなら、これをあげる。これ以外の方法では、絶対に助からない」
液体の入った小瓶を掲げいたずらに笑いながらユリネが言う。
もう、あの頃には戻らないと決めた。
あの頃の自分はもういないのだと――――。
「ねぇ、どうする?あの子を助けられるのは、シドだけ」
それでも。
彼女を、護ると誓った―――――。