「なぜだ!」

「なぜ?そんなの、決まってるでしょう。嫌いだからよ」

「は?」

「嫌いなの。へらへら笑って、いつだって幸せそうで。誰にでも愛されて。いつだってそう。人当たりよくって、あの子を悪く言う人はいないの」

「それは、あいつがいつだって正直でまっすぐだからだろ」

「いつだって幸せな場所にいるからよ!」




ユリネが怒鳴る。
シドは目を見張り、言葉を噤んだ。



「恵まれてて、愛されることを知っていて。認めてもらえるから!」

「・・・っ」

「あの子はなんでも持ってる。私が欲しいもの全部!それなのに、シドまで私から奪うなんて許さない!あなたは私のものだったのに!」

「俺は・・・」

「シドは、私のものよ!絶対に渡さない!」




ユリネはシドに近づくと腕を掴みグッと力を込めた。
その力は、女のモノとは思えないほど強く、シドは顔を顰める。