「熱が下がらない・・・」
「汗が酷いです、着替えと濡れたタオルを!」
慌ただしく梨乃の看病が続けられているが、熱は上がる一方で時折苦しそうにうなされる梨乃。
シドは苦しげに梨乃を見つめながら側に寄り添い、クロウはかいがいしく世話を焼く。
「ただの疲れではないようですね」
「・・・っ」
「熱が高すぎます。このままでは・・・」
クロウが顔を歪め、憤りを感じていた。
シドは、じっと梨乃を見つめ考え込むと意を決したように立ち上がり扉に向かう。
「シド!?」
「少し、城をあける」
「どこに行くつもりですか」
「・・・そいつを頼んだ」
シドは答えず部屋を飛び出す。
クロウは、梨乃を放置しておけず追いかけることができなかった。
どこか胸騒ぎを覚え心配そうにシドが出て行った扉を見つめた。