無事エスターン王国にたどり着く。
馬車が止まり、シドはいまだに眠っている梨乃に声をかけた。
「おい、ついたぞ。起きろ」
声をかけるが、梨乃は起きる様子がない。
シドは仕方なく梨乃の肩に手をかけた。
「おい、起き――――」
グイッと揺らすと、そのまま体のバランスを崩し倒れこんでくる。
慌ててその身体を受け止めると、その身体の熱さに驚いた。
「おい!梨乃、おい、しっかりしろ!」
「どうしたんです!?」
シドの様子にただならぬ状況を察しクロウが叫ぶ。
シドの腕に抱えられた梨乃は真っ赤な顔をして荒い呼吸をしていた。
「プリンセス!?」
「おい、・・・おい!」
シドたちの声が、響く。
梨乃の手がパタン、と力なく落ちた。