「まさかゆりねに会うなんて、驚いちゃった」
「私も驚きですよ。まさかそんな・・・。ですが、一応注意しておいてください。相手はヘルスター王国のプリンセスです」
「注意って、ゆりねが?そんな、ありえないよ」
そう笑って言う梨乃だったが、クロウは何かが引っかかっていた。
同じくシドも、直前のユリネの態度を思い出し胸騒ぎを覚えていた。
「とりあえず、一刻も早くエスターンに戻りましょう」
「うん。無事終わってよかった」
「とても、頑張っていましたよ。プリンセス」
クロウに褒められ、梨乃は嬉しそうに笑った。
ずっと張りつめていた緊張の糸。
馬車に乗り、動き始めた瞬間ぷつんと切れそのまま眠りに落ちていった。
「疲れが出たんでしょうね」
「ああ・・・」
梨乃の寝顔を眺めながら、クロウとシドはそれぞれの思案に浸る。