「諦めたわけではないぞ、プリンセス。何としても、あれを我が物にしてやる」
「カノンは、モノではありません。ですが。国王様が父親として、カノンと向き合うというのなら、私は歓迎いたします」
「父親として、だと・・・」
「はい」
梨乃は、そう言うと優しく微笑んだ。
「・・・そういえば、こちらにいた狂犬が世話になっているそうだな」
「え?」
「プリンセス、そなたにあれが使いこなせるか?」
ダーク国王は、意味深に笑いながら部屋を後にした。
梨乃は言っている意味が解らず眉を寄せる。
「・・・梨乃さま」
従者に連れてこられたカノンは、梨乃の姿に涙を溜める。
梨乃は立ち上がりカノンを見た。
「カノンくん」
「梨乃さまッ!」
駆け出し梨乃に抱きついたカノンを、梨乃は優しく抱きしめた。
「よかった。カノンくん、怪我はない?」
「うん、うん、梨乃さま、ありがとうございますっ」
「無事で、よかった」