「ここに、カノン=ロドニーの出生届があります」



梨乃が取り出したのは、ナトリに渡された封筒の中身。
カノンの母親が届け出を出していたものを見つけ出したのだ。




「父親の欄、ここにはブルックス=ハーバードと書かれています。カノンの父親は、あなたではない」

「なに。そんなもの、勝手にあの女が届けたものだろう!」

「DNA鑑定ができないこの世界では、これが全てです!父親だからと連れ去った根拠は、これで崩れるはず。あなたをカノンの父だと示すものは、何一つありません」

「戯言を・・・」

「戯言でも、これが現実です。カノンを、返してください」




強い口調でそう言い切った梨乃に、ダーク国王は悔しげに表情を歪める。
ギリギリと拳を握りしめた。




「・・・連れて参れ」

「・・・は」




側近にそう命じたダークは一度ダン、と拳を叩きつける。