梨乃が決意を固め、きっと前を見据える。
それを確認しクロウはそっと扉を開いた。
「よく来たね、エスターンのプリンセス」
「・・・突然の訪問、許していただき感謝しています。ダーク国王」
敵国のプリンセスの来城に、ピリピリとした空気が漂う。
その空気に圧されないよう、リノは表情に力を込め毅然と立ち向かう。
「今日は、どういった用件かな」
ダーク国王は、禍々しい重圧を纏い、見下すような瞳で梨乃を見やる。
「我が城に仕えていた庭師、カノン=ロドニーの件で参りました」
「カノン=ロドニー?誰だ、それは」
「ご存じありませんか?」
「・・・さあ。知らないねぇ。そんな下賤の庭師など」
蔑むようにダーク国王は言うと座る椅子にもたれ、肩ひじをつくと片方の唇をクッとあげた。