「大丈夫か」

「・・・うん」




公務用の正装に身を包み緊張した面持ちの梨乃。
ついに、ヘルスター王国へやってきたのだ。


仰々しい大きな扉。
この向こうに、ダーク国王が待ち受けている。
シドの心配する声に、表情を硬くさせながら梨乃が頷いた。



「・・・俺は、ここで待ってる」

「え?」

「悪いけど、中には入れない」




梨乃が顔をあげシドを見ると、気まずげに視線を反らされた。
なぜ、と問いかけられる雰囲気ではなく梨乃は戸惑いながらも視線を戻した。




「プリンセス。臆してはいけません。毅然とした態度で臨むのです」

「・・・はい」



必ずカノンを連れ戻す。
そのためには、毅然とした態度で、挑まなくてはいけない。

見下されてはだめ。
サラリとかわされて誤魔化されて終わるだけだ。