「ナトリ」
「・・・はい」
国王が、側に使えていたナトリに一声かけると、ナトリはすっと封筒を梨乃に差し出した。
「試すようなことを言ってすまなかった。少し、寂しくなってね」
「え?」
「もっと子どもていてほしいと思っておったのに。すっかり立派になってしまったようだからね」
「国王様・・・」
「少しずつ、わしの仕事も梨乃に回していけるようにしなければな」
「あ、あの!国王様も、ナトリさんも、私の家族です。この城のみんなは、家族だって思ってるんです」
寂しそうな国王に、梨乃がそう言う。
自分の名が出たことにナトリは少し驚いたような目を見張る。
しかしすぐにその表情を戻した。
「・・・梨乃」
「国王様、ハンカチを」
「ぐすっ、もったいないくらいいい娘に育ってくれたなぁ」
鼻を鳴らしながら涙を拭う国王。
とても愛らしく、梨乃は微笑を浮かべた。
「お前たちも、すっかり梨乃に懐いてしまったようだしの」
国王は後ろで控えているクロウたちに声をかけた。