「だが、一つ聞かせてくれ。カノンを助けたいというのは、それはプリンセスとしてか、それとも梨乃としてなのか」

「それは・・・」



国王に問われ、梨乃は考える。
それでも、どうしても答えは出なかった。




「わかりません」

「・・・ん?」

「プリンセスとしてそれが正しいのかどうか、正直わからないんです。でも、そんなこと関係ないくらい、私は助けたいって気持ちが強いんです」

「気持ち、か」

「プリンセスっていう自覚とか、覚悟を私はたぶんあまり持てていません。しっかりしなくちゃって思えば思うほど空回りして、護られてばかりで」




ギュッと拳を握る。
それでも前を向いて国王を見た。



「私も、護りたいんです。誰かを護るために、プリンセスという力を使いたい。今はただ、プリンセスという肩書を、カノンくんを助けるために使いたい。それだけです」

「カノンを護るために、か。梨乃にとって、カノンはなんだ?」

「・・・家族。カノンくんだけじゃなくて、クロウも、シドも、ロイも。私の大切な家族です」



この世界で見つけた、家族。