「人のために泣いて、人のために笑える人だ。自分の欲望のためにプリンセスになってる、君とは違う!」

「なんですって!?」

「僕は、国王になんてならない!僕の居場所は、プリンセスがいるあの場所だ!笑ってくれる、あの庭だ!」





カノンは力強くそう叫んだ。
まだいるだろうか。

僕の声は、届いただろうか。




「戻りたい!僕は、エスターンが、エスターンの人が大好きだから!」




お願い、届けて。
僕は、帰りたい。



こんなところに、いたくないよ。





助けて。
梨乃さま―――――。