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薄暗い独房のようなところに、カノンはいた。
両手を縛られ、拘束されるように。



城に帰るその最中、突然襲われ連れ去られたそこがヘルスター王国なのだと知らされたのはずっと後になってだった。



「梨乃さま・・・」




泣き出しそうなか細い声。
いっぺんに自分の身に降りかかった出来事が消化しきれずにいた。


自分がダーク国王の血を引く隠し子だという事。
今更になって浚われたのは、国王の座をいずれ継ぐため、その土台をつくるためだという事。



しかし、あの国王がすぐに王座を譲るつもりがないことくらい一庭師だったカノンでもわかった。
ここで何年も捕らわれ、洗脳され、ダーク国王が望む国王に育て上げるつもりなのだと。



コツコツ
なにやら、窓から小さな音が聞こえる。

ぼんやりとした頭を上げると、格子から見える外へ視線を向けた。