「あ、残念。シド、さっきすごくいい笑顔だったのに」
「は?ばっかじゃねぇの」
梨乃の言葉に、思わず顔を赤らめる。
そんなシドを可笑しそうに梨乃は見た。
「いいから、手紙書くんだろ」
「ふふっ、うん。え、いてくれるの?」
「ああ・・・。書いたらもう今日は寝ろよ。手紙は渡しておいてやるから」
「・・・シドって、過保護だね」
「はあ?」
梨乃はとても嬉しそうに笑い引き出しから便箋を取り出した。
シドは黙って、梨乃を見つめる。
静かな空間。
それでも、お互いの存在がとても安心感を感じさせた。
梨乃がペンを走らせる音だけが聞こえる。
「・・・俺、こんな穏やかな日常で、いいのかな・・・」
ボソッと呟いた声。
それは梨乃には届かず独り言に終わった。