「その時は、少し施設内がバタバタしていて・・・。しばらくして落ちつてから、その写真を頼りに母親を探したんです」

「・・・見つかったんですか?」

「はい・・・。ですが、その母親はもうすでに亡くなっていました」

「え・・・」

「病を患っていたそうです。カノンを生んですぐにその病が見つかり、もう手の打ちようがなくなっていたと・・・」






身寄りがなく、施設の事を知り泣く泣くそこに残してきたのだろうと、アリア施設長は続けた。




「プリンセス、どうか、どうかあの子を!あの子に何かあったら、私は、あの子の母親に顔見せできません」

「施設長・・・。わかってます。私たちも、カノンくんを助けたいと思ってるんです。思いは、同じですから」

「ああ、ああっ・・・」



泣き崩れた施設長の背中を優しく擦る。
なんとしてでも、カノンを助け出さなければ。



クロウは、その想いを強くしながら、二人を見る。
ふと、施設長が手にしているハンカチを目にした。




「それは・・・」