「橋の番人から気になる情報を入手しました」

「橋?って、あの、ヘルスター王国と結ぶ橋?」

「はい」



定期的に報告をしてくれるクロウが、梨乃のもとにやってきた。
手に入れた情報を、梨乃に伝えていく。



「その番人が言うには、ヘルスターから荷馬車が入国したそうですが、出国する際、後ろの荷が増えていたそうです。人ひとり入れるほどの大きな箱が」

「え・・・」

「運んできた荷もおろさず不審に思った番人が問いただしたそうですが、商売に来たが売れ残ってしまったのだと答えたそうで・・・」

「もしかしたら、その荷馬車にカノンくんが乗っていたかもしれないってこと?」

「まだ確信はありません。ですが、その者は顔を布で隠し、あまり姿を見られないようにしていて、不審だったと」





ヘルスター王国が関わっている・・・?
そのことに、梨乃は驚く。



「でも、どうしてヘルスター王国が、カノンくんを?」

「それが、わからないのです。彼は使用人。人質にとるなら、もっと適任はいるはずですから」

「そうだよね・・・」



カノンは、庭師で、国の動向に関わることのない使用人だ。