ひとりじゃない。
いつの間にか自分もその中にいたんだとシドは思った。



「・・・シドもね」




思っていたことを、梨乃に言われ、ハッとするように目を見張る。




「エスパーかよ」




肩を竦めそう呟いた。
梨乃に出会ってからの自分は、もう以前の自分とは違う。


クロウにも言われたし、自分でもそう感じていた。




「ありがとう、シド」

「・・・いや」




梨乃が、自分の世界をがらりと変えてしまったのだと。





「俺の方こそ」




ありがとう。
そう伝えたい。