「施設長の話では、カノンは当初の予定通り施設を出たそうです」
「じゃあ、施設の帰りに何かがあったかもしれないってこと・・・」
梨乃が心配そうに眉を下げる。
カノンが休暇をとったまま、連絡もなく戻って来なくなって2日。
仕事に遅れるようなことは今までなかったと共に働く庭師たちは口をそろえ。
梨乃自身も、カノンの仕事に対する熱心さはよく感じていた。
なにかがあったに違いないと、施設に話を聞きにクロウに指示されロイが向かっていた。
ロイの報告を梨乃に伝えたクロウだったが、思い悩む梨乃を心配してしまう。
「プリンセス、あまり思いつめないでください。何かあったとまだ決まったわけではありませんので」
「うん。わかってる・・・。ごめんね」
クロウに心配をかけてしまっていることに気づいた梨乃は顔をあげ頷いた。
しっかりしなきゃと思う。
いちいち凹んでめそめそしていたらダメだ。
プリンセスなのだから、しっかりしなくちゃ。
「施設でのカノンくんの様子はどうだったんですか?」
「それに関しても、いつも通りだったと。久しぶりに会う仲間も今回は帰省していたそうで、笑顔で何かに悩んでいたりという雰囲気はなかったようです」
「そう・・・」