「そっか。じゃあ、施設でお友達にも会えるんだね」

「はい。僕に合わせて一人立ちした仲間も戻ってくるみたいで」



嬉しそうに話すカノンを見て、梨乃はホッとして笑顔になる。
施設の仲間が大切なのだと伝わってきて、嬉しくなった。




「楽しんできてね」

「はい!ありがとうございます!」





カノンは、梨乃に頭を下げると途中までやっていた作業をささっと済ませ、立ち上がると梨乃に見送られながら門へと向かった。




「里帰りか・・・」



ふと、元の世界の事がよぎった梨乃だったが、消し去るように踵を返し城の中に戻った。



しかし、2日たっても、この場にカノンが戻ってくることはなかった―――。