「お前には、必要なのかもしれませんね。甘えさせてくれる人が」
「・・・ガキじゃねぇのに」
「今まで、誰にも甘えることができなかったんでしょう。私も、甘えさせてあげることはできませんでした」
張り詰めた空気を、クロウは感じていた。
シドは俯き、身体は小さく震えている。
まるで子どもだと。
「良く、頑張りましたね」
「・・・うるせぇ」
ポンと優しく綺麗な赤い頭に乗せる。
こうして兄弟でいても、甘えさせてやることなんて今までできなかった。
もう大人なのだ。
兄弟といえど、家族といえど。
「プリンセスに、言われたんですよ。これから兄弟らしいことをたくさんできると」
「はあ?」
顔を上げたシドは、目が赤くあどけない表情。
弟の顔だった。