「でも、そんな詳しい情報を知ってるなんて、お前ヘルスター王国でなにしてたんだ?」
「・・・なんだっていいだろ。噂くらいどこにいたって聞こえるもんだ」
「なんだ、結局それも噂の範疇なのか?」
ロイはそれ以上深く問いかけることはせず、ぶつぶつとそのことについて考え込んでいる。
いったん話はそこで終わり、解散となった。
梨乃を部屋まで送るため二人が出て行くと、残ったシドにクロウが声をかける。
「なぜ、話したんですか」
「・・・どうせ、いつかバレることだ」
「それはそうですが。お前の立場を、悪くするだけでしょう」
「立場なんか、もともと悪い」
クロウは深いため息を吐く。
本当に、手のかかる弟だ。
「嘘を、つきたくない。あいつには・・・」
「プリンセスですか」
「あいつなら、どんな俺でも受け入れてくれる・・・そう思ってしまうのは。情けねぇな。俺は、あいつに甘えてんのか」
吐き捨てるように言ったシド。