「異世界って、私がいた場所以外にもあるの?」
「さぁ・・・。私にもそこまで詳しいことは。ですが、もしかしたら梨乃さまと同じ世界だった可能性もあります」
「え、私と?まぁ、でも、地球は広いしね」
梨乃は、それが誰かという事よりも、自分と同じような境遇の人がいることの方が気になった。
その人は、すぐに受け入れることができたんだろうか。
どんな思いで今、この世界にいるのだろうか。
他人事に思えず、思いを馳せた。
「どんな人なんだろう」
「プリンセス。言っておきますが、相手はヘルスター王国のプリンセスですよ。思考や狙いはダーク国王の血を引いている方です。はっきり言ってしまえば、プリンセスの命を狙おうとする思考の持ち主という事ですよ」
「うん・・・、それはわかってるんだけど」
「プリンセスは、お優しいですからね。同じ境遇に、想う所はあるでしょうが、十分注意が必要な相手ですから」
クロウにこんこんと言われ肩をすくませる。
「シドはどう思う?」
梨乃が助けを求めるようにシドに振る。