「最近、ヘルスター王国の気になる噂を耳にしたんです」




クロウの執務室に集まったロイとシド、そして梨乃はクロウから切り出された話を聞いていた。




「ヘルスター王国のダーク王には、娘がいたのですが、プリンセス同様、ある日を境にその存在はあいまいなものになっていたのです」

「そうなの?曖昧って?」

「その姿を見たものはおらず、姿をお隠しになっていると。それが、最近その姿を見たという者がいるらしいのです」

「ふぅん・・・」




クロウの話に、梨乃は特に何も思わず納得した。




「それは、プリンセスと同じようにどこか違う世界に隠れていたということしょうか」

「え・・・?」




ロイが問いかけた疑問は、梨乃には思いがけず思わず声を張った。




「わかりませんが、その可能性もあるかもしれませんね。ダーク王も、娘は大事でしょうから、護るためにと、同じように考えたのかもしれません」

「そっか・・・」