「どうしてこう、思い通りに行かんのだ」



薄暗い雰囲気の中、一人の初老の男が悔しげに歯を食いしばった。
ギリギリと歯を鳴らし、いら立ちを隠せない様子。



「お父様」

「黙れ、役立たずが!お前があの世界で、けりをつけておればこんな事には!」

「も、申し訳ございません・・・。ですが、あの世界では、殺人は罪に・・・」

「どうせこちらに戻ってくるのだ、罪だなんだと、関係ないことに足踏みをしておったのか!馬鹿者が!」





大きな怒号に、その者を父と呼ぶ少女は恐怖に身体を縮ませる。
男は、イライラを抑えることもせず、だんだんと貧乏ゆすりをし、肩を怒らせている。




「やはり、女など役に立たん。男だ。わしの血を引く息子が、必要だ」

「お、お父様―――」

「黙れ、貴様も、少しはわしの力になってみろ」




ぴしゃりと切り捨てるように言い放つ男に、少女は悔しげに拳を握った。