「はい」
「・・・俺」
扉を開きながら返事をすると、聞こえてきたのはずっと聞きたかった声。
梨乃はすぐに気付き勢いよく扉を開いた。
「シド!?」
扉の向こうにいたのは、思い描いた人の姿。
梨乃は久しぶりに会えたシドに声をあげた。
「良かった。謹慎、無事に解けたのね」
「・・・ああ」
シドは、どこか落ち着きがなく視線を合わせようとしない。
梨乃は気になり、そっと手を伸ばした。
「シド・・・?」
「・・・っ触るな!」
伸ばした手を思い切りはじかれる。
シン、と静まり返った部屋。
梨乃は驚いたようにシドを見上げた。
シドはハッとし顔をあげると、はじいてしまった手をグッと握る。