「ほおの痣は、あと少しといったところですね」
「うん。あとは痣だけ・・・。心配かけてごめんね」
「いえ。口元なので薬がぬれないから治りが遅いんでしょうね」
鏡とにらめっこをしながらあの時の怪我を見ていた梨乃。
青痣はなかなかしつこく口元を痛々しく見せている。
「メイクで隠せる?」
「そうですね・・・。やってみましょうか」
「うん、お願い」
いつまでもガーゼをつけておくのも心配かけるだけだし。
だからといって青あざが見えていても同じことだと、少しでも隠せるように試行錯誤していた。
そんな時、ノックの音が聞こえた。
「誰だろう・・・」
「どうしましょう。待っていただきますか?」
「・・・ううん。私、出る」
梨乃は、ミオにそう言うと立ち上がり扉に向かう。