「ナトリさまは、甘いです」



ナトリの執務室を出てシドはナトリの指示でプリンセスの部屋に向かったため、クロウとロイは二人で歩きながら話していた。
ロイはいまだに、騎士として間違っていたシドを許しきれていない。




「切り捨てるのは簡単です。ですが、まだあいつはやれると、ナトリさまも国王様も判断されたのでしょう」

「まぁ・・・。あいつが騎士になったのは、国を護るためというよりは、プリンセスのためですからね。そのプリンセスが浚われたとなると、冷静でいられないのはわかります・・・」

「珍しいですね。ロイがフォローなんて」

「別に、フォローしたつもりは・・・。少し、頭ごなしになりすぎていたとは思うので」




ロイはそう言うと頭をかいた。



「訓練の時から思ってましたが、あいつ、戦い慣れてますよね」

「・・・そうですか」

「ええ。なんというか、訓練慣れ、ではなく実践に慣れているような気がしたので」




首をかしげながらロイが思い出したように言う。




「どこかで、経験してたんでしょうか」

「・・・さあ。どうでしょうね」




クロウはそう言うと、少し歩くスピードを速めた。