「じゃあ、私部屋に戻るね」
「はい・・・。プリンセス、怪我を負わせてしまい本当に・・・」
「もういいから。怪我くらい、すぐに治るし。皆も無事でよかった」
誰も死ななかった。
それだけで、梨乃はホッとしていた。
姿を見るまでは、なんとなく安心できなかった。
死の恐怖をありありと感じてしまってから、死が身近になった気がする。
この世界では、とても近くにそれがある。
「じゃあ、・・・早く戻ってきてね」
「はい。送ることができず申し訳ありません」
「いいの。ここまでも一人だったから」
二人は返事をし頭を下げた。
見送られながら、部屋を出た梨乃はまっすぐ自分の部屋に戻った。
待っていてくれたミオとセレナに迎えられ、梨乃は大事をとってベッドにもぐりこむと次第にやってきた睡魔に、眠りへと落ちていった。