「シドの様子も見に行きたいんだけど、シドは男子寮なんだよね・・・?」
「ええ・・・。あそこは女性禁制なので、プリンセスは中には入れないと思います。それに・・・」
クロウは顔を伏せる。
「プリンセス、あいつの心配は無用です」
「え?」
「あいつは、騎士としての自覚が足りない。反省するべきなんです」
苛立ちを、声色に乗せロイが言い切る。
何事かと梨乃は首をかしげる。
「あいつの事は、少しそっとしておいていただけますか?」
「そっとって・・・」
「今は、少し気が立っているので、落ち着いてからの方が・・・」
フォローするように、クロウがそう言う。
梨乃は、戸惑いながらも「わかった」と頷いた。
なにかがあったのだろうことはわかる。
でもそれは、騎士としてのシドの問題なのかもしれないと、あまり口を挟まないほうがいいのだろうと判断した。