「プリンセス、以前にも申しましたが、私には・・・」
無理などしないでほしい。
辛いなら辛いと・・・。
言おうとして口を噤んだ。
言えない状況を作ったのは、紛れもなく自分たちなのだと。
自分たちと一緒にいて浚われた梨乃。
その失態の罰を受けた自分たち。
そんな自分たちの前で、辛いと、悲しいと嘆くことなんて、梨乃ができるわけがなかった。
責められても仕方がない。
自分たちはそう思っていても。
梨乃は、そんなことできる人ではないことは今までで散々わかってきた。
だからこそ、こうして無理に笑うのだと。
「・・・っプリンセス」
なにも言えない。
護れなかった代償が、こんなにも大きいなんて―――――。