「・・・はい」
伺うような堅い声。
誰なのか、警戒しているような様子に梨乃は緊張した面持ちで扉が開かれるのを待つ。
声をあげようかと思ったが、謹慎中の二人のもとにプリンセスがこうして尋ねることはあまりよくないのかと思いコソコソと遠慮がちにやってきたのだ。
「・・・プリンセス!?」
ゆっくり慎重に開かれた扉。
扉から覗いたロイと目が合うと、ロイは驚愕した表情で声をあげた。
梨乃は慌てて口に指をあてる。
「しーっ!な、中に入ってもいい?」
ここまでこっそりとやってきたのに無駄になってしまうと、ロイを押しやるようにして自分が中に入り込んだ。
そして、静かに扉を閉めるとホッと肩をおろした。
「たぶん、誰にもばれずにこれたと思う」
自分的にそう納得し振り返ると、動揺したようなロイの様子に戸惑った。