青い空。
肌寒くなってきた空気。
それは、もうすぐやってくる冬を知らせていた。
「寒くなってきたね」
空を見上げながら樋宮梨乃(ひのみやりの)は呟いた。
「やだなぁ。寒いの苦手なのに」
「ふふっ。ゆりねは夏の方が得意なんだよね」
「うん。夏の方が好き!」
隣に並んだ百瀬ゆりね(ももせゆりね)がにっこりと笑って応えた。
それを横目に見ながら歩き出した梨乃は、ゆっくりと学校の校門を通る。
同じようにたくさんの生徒たちが校門を通り学校の中に飲み込まれていく。
大切な家族、大好きな友達。
全て、ここにある。
はずだった。