「自分のせいだと、思って苦しんでいたのかい?可哀想なことをしたね。こんな目に遭わせてしまってすまなかった」

「・・・っ」



優しい言葉が、優しい声が心に染みて。
梨乃の心を温めていく。




「・・・私、もっと強くなります。プリンセスとして、堂々と立っていられるように。皆を、護りたいんです」

「梨乃・・・」

「悔しい。・・・浚われて、なにもできなかったことが。皆は、私を護ってくれるのに。私は、皆の事護れなかった」



ポロポロと溢れた涙。
国王は、そっと梨乃の涙を拭う。
拭う先から溢れる涙に、そっと抱きしめた。



「なにも、できなかった・・・っ。悔しい・・・」

「君を育ててくれた両親は、本当にいい人たちだったんだろうね」




梨乃の身体を離した国王は、そう言いながら優しく頭を撫でる。



「自分が怖い目に遭ったのに、こんなにも人のために泣いてる。本当に、いい子に育ててくれた。・・・少し、悔しいけれどね」

「おと・・・さま・・・?」

「梨乃。聞いて。なにもできなかったことなんてないよ。生きていてくれた。それだけで、本当によかった」