「謝る?梨乃がなにを謝る必要がある?謝るというのなら、今回の公務を取り決めたわしであろう」
「・・・私がプリンセスとして未熟で、半人前にもなれてなくて。だから、認めてもらえなくて・・・」
梨乃は、想っていたことを吐き出すように話し出した。
「だから、今まで傘下にいたドーベル王国の国王様も、裏切りなんて・・・」
「それは違う。梨乃の責任ではない」
「でも!」
「以前から、王会議の欠席が目立っていた。その上あの舞踏会も欠席・・・。裏切ったというのなら、梨乃が戻る以前からだったんだろう」
「・・・で、でも」
「誰のせいか、それを問うなら、国王であるわしの責任だ」
国王は、はっきりとそう告げた。
梨乃は口を噤み俯く。
「梨乃はよくやっている。受け入れられないほどの状況であったのに、今はこうしてプリンセスとして前を向こうとしている。そんな梨乃を誰もが認めているよ」
国王は梨乃の前に来ると優しく梨乃の頭を撫でた。