怖いと思ってしまった。
目の前で人が簡単に死んでしまった事。


そして、簡単に殺してしまったシドを。


あの時のシドは、いつものシドじゃなかった。
当たり前のことなのに。


冷たくて、纏う空気感が恐ろしく張り詰めていて。
殺気、みたいなものを目に宿していた。





シドは自分を助けるためにしたことなのに。
そんなシドを、傷つけてしまった。



手を払った時、ひどく傷ついたような顔をしていた。
その顔が、離れない。






「・・・クロウたちに、会いに行ってくる」

「そ、そんな、おやすみになっていてください。まだお身体が」

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」




梨乃は安心させるように笑うと簡単に着替えを済ませ部屋を出た。