「あの、皆は・・・無事?」

「クロウさま方ですか?・・・お三方は・・・謹慎処分が言い渡されました」

「・・・え!?」



梨乃は驚きに声をあげ、思わず大きく動かした口で頬に激痛が走り顔を顰めた。



「梨乃さま、大丈夫ですか!?」

「ご、ごめんなさい・・・。あの、謹慎処分って、どうして・・・」

「梨乃さまの誘拐を防げず、怪我を負わせてしまった責任をとってと言うことです」

「そんな、それはみんなのせいじゃ・・・」

「ですが、謹慎は十分に配慮された結果です。降格などもありうる話でしたから」



確かに、怖かった。
自分が死を間近に感じることなんて今までになかった。

戦の時も、恐怖心はあったがそれは自分がではなく、他の誰かが死んでしまうかもしれないという恐怖。
それとはまた違う、恐怖に思い返すと今でも体が震える。



でも。
シドたちを責めたりなんてしていない。
シドたちのせいだなんて思っていない。


むしろ、ずっと思っていたのは。



自分の不甲斐なさだ。
浚われることしかできなかった。
抵抗も、説得も、なにもできず。