「・・・あなたは、ずっと黙っていますが、わかっていますか?シド」
黙ったままのシドに視線を向ける。
シドは口を噤んだまま俯き気味に座っている。
「わかっているんですか?あなたは一番危機的状況なんですよ?」
クロウが声を荒げ、シドに詰め寄る。
シドはそれでも黙り込んだまま視線も動かさない。
「あなたは、あの男を殺すべきではなかった。他にも仲間がいたため大きな問題にはならないでしょうが、もしいなかったとしたら、あなたは大切な情報源を消したことになっていたんです。そうなれば、誰の命令で動いたのか、他にも仲間がいるのか、聞き出すことができなくなるんですよ!」
「俺は最初から反対だったんだ。お前みたいな奴を騎士にすることは」
苛立ったようにロイがシドを睨みつける。
「どうせ頭に血が上ったんだろう。冷静になると言ったのはどの口だったんだ。貴様に騎士など向いていない」
「・・・わかってんだよ。そんな事」
「なに?」
ようやく口を開いたシドに怪訝に顔を顰めるロイ。
シドはグッと拳を握ると顔を勢いよくあげた。
「もうどうでもいい。処分でもなんでもしろよ。俺には、誰かを護るなんてどうせできねぇんだよ」
「シド!」
言い残し去っていったシド。
クロウは頭を抱え大きく息を吐いた。