「梨乃さまは・・・」



梨乃の部屋から出てきたクロウに心配そうに声をかけるミオにセレナ。
側にはロイやシドの姿も。


クロウと一緒に出てきた医師は会釈をし立ち去った。




「ほおに殴られた傷と、腹部にも同じような打ち身、縛られた跡が残っています。どれも痕も残らず消えるだろうと」

「そうですか・・・」




傷は残らない。
その言葉にセレナたちはホッと肩をおろした。

痛ましい姿で戻って来た梨乃に、城内はひどく混乱した。
今は、事後処理に追われ、ドーベル王国に対しては厳しい処置が施されることになるだろう。




「ですが、見える傷よりも心配なのはプリンセスの心です・・・。今まで体感したことのないような恐怖だったでしょうから」

「梨乃さま、きっと怖かったでしょうね・・・。可愛そう・・・っ」

「ミオ・・・。私たち、きっと支えになります。梨乃さまのお心が晴れるように」



顔を覆って泣き出すミオ。
支えるようにセレナが肩を抱くと、クロウに力強く言った。



「頼みます。・・・二人は少し今回の件で話が。私の執務室へいきましょう」

「はっ」

「・・・」



ミオとセレナを残し3人は部屋を後にした。