簡単に、殺してしまった。
既に事切れてしまっている男が地面に無残に倒れている。



死―――――。




ぞくっとした恐怖に身を震わせた。




「り・・・」

「プリンセス!」




シドがハッとして梨乃に声をかけようとした瞬間、慌てたような声が遮る。
遅れてきたクロウが梨乃に駆け寄った。




「プリンセス!」



クロウは慌てて梨乃の口に巻かれている布と縛り上げていた縄をほどく。
ずっと後ろ手で縛られていた腕は痺れてジンジンしていた。




「クロ・・・ウ・・・」

「プリンセス。すみません!私がいながら・・・っ」




悔しげに顔を歪めるクロウ。
梨乃の赤くなった手首を優しく擦る。