赤。
赤。
プシャッと飛び散ったその赤がポタポタと梨乃の頬に落ちた。
なにが、起きたのか。
ぐらりと倒れこむ男の身体が、グッと何かに引っ張られるように止まると乱暴に梨乃の身体の上から地面に叩きつけられた。
その先に見えた、赤に梨乃は目を見張る。
目を惹く、その赤い髪――――。
シド――――。
シドの手には赤く染まった剣が握られていて。
シドはひどく怖ろしい表情で男を睨みつけていた。
頭に血が上ったような、まるで、初めて会った時のシドのように荒々しい表情に、梨乃は息をのむ。
怖い。
そう、思ってしまった。