「くそっ、てめぇ!!」
男が発狂し梨乃を追いかける。
必死に逃げようとした梨乃だったがすぐに追いつかれ縄を掴まれた。
「っ」
「もうゆるさねぇ。どうせここまでなら、生かしておく理由なんてねぇんだ。それに、お前が死ねばエドワードの血は絶えるんだ!それでも、十分ルベルトさまに貢献できる」
男の瞳は狂気に満ちていた。
後先考える余裕などなく、血走った眼。
梨乃は恐怖に息をのむ。
男は梨乃を引き倒すと馬乗りになり腰から短剣を抜いた。
殺される――――――。
向けられる剣先。
血走った男の目。
死を覚悟した瞬間。
「ぐっ」
男の表情が醜く歪み、その背中に赤が散った。