そこは、森の中のようだった。
そういえば、来る途中に森を抜けてきたことを思い出す。
梨乃はこの場所の情報を得ろうと辺りを見渡す。
しかし、見えるのは木ばかりで、場所のヒントになるようなものは見当たらない。
エスターンの犬、と声を荒げていた男を思い出す。
もしかして、クロウたちが近くまで来ているのだろうか。
それともエスターンの他の人が・・・?
だとしたら。
近くにいるとしたら。
「ん―っ!!」
梨乃はじたばたと動かせる身体を動かし抵抗する。
男はバランスを崩し梨乃の身体を落としその場に倒れた。
「くっ」
「んっ!」
受け身の取れない状態で身体を打ち付けるように落ちた。
それでも、男からは逃れることができた。
急いで立ち上がって逃げなければ。
梨乃は必死で体を動かす。